2020年11月号の Editorial
今号のテーマ“Insights we have achieved when facing our own serious medical challenges”に、9篇の記事が寄せられた。これらの記事には共通性がある。何れも、心のあり方に関して書かれているのである。
これらは、末期癌や老齢という後戻りできない状況に面している患者への対応、精神が異常になった患者さんへの対応、ストレスで体調の異常を起こしている患者さんへの対応、自己の難症からの回復、肉親の治療などである。(投稿者:校條由紀、船水隆広、前田篤希、高橋大希、石原克己、高嶋正明、Pamela Ferguson、Jean Carr、John Dixon)
このような患者に接するときの、術者の気持ち(それらは戸惑い、恐怖、 反省、希望などであるかも知れない)を通じて、生命観を記述している。それ故に、これらは単なる症例報告に留まらず、施術者と患者の有り方を我々に伝えて、人間の生と死という領域にまで踏み込んでいる。これらの記事は、我々の治療活動における将来の方向性を示唆している。伝統医療の治療は、患者の全体像を見ることから始まり、全身の調整をするには心のあり方に触れずには済まないからである。
COVID-19の各地のレポートを、世界中のNAJOMのメンバーに書いて頂くようにメイルを送ったが、残念ながら、以外と反応が少なかった。今号ではイギリス、オーストラリア、日本、アメリカ、インド、イタリアのメンバーの記事を読んでいただきたい(投稿者:Fiona Hurlock、浅原由江、安士正人、本田進、Peter Eckman、Marco Superbi、Raman Kapur)。
世界中のCOVID-19の被害をみてみると、医療行政の違いで随分と差があることが分かる。日本やカナダは、医療保険が国で運営されていて、医療は自由に受けられる。このような国は、一般的に国民が健康的な暮らしをしているといえる。そのような国々はCOVID-19の被害は少ない。医療行政が貧しくインフラの遅れている国は(G7に入っている国でも)、国民の健康度が低くて被害が大きい。
中国では、中医師が西洋医と対等に治療活動を行っている。中薬、鍼灸がCOVID-19の治療前線で大いに使われる。当然治療結果は目を見張るものがある。日本では、漢方薬はCOVID-19の治療前線では使われていないと思われるが、通常の保健医療では漢方薬はカバーされている。鍼灸、按摩、マッサージ、指圧治療も日常の医療行為としてポピュラーだ。日本ではロックダウン中でも、鍼灸治療はサスペンドされなかった。
私がこの記事を書いている時点で、死亡者数は、中国4634、日本1646(202010.15)と極端に少ない。
やはり伝統医療が行われている国は、COVID-19被害が少ないと言って良いだろう。言い換えれば、伝統医療が免疫をサポートしていると言うことだ。また東アジアの国に、COVID-19の被害が少ないという地域性も、このウイルスの特性であり、東アジアと西洋の国々の生活環境の違いにも注目すべきであろう。
治療法の記事では、打膿灸の詳しい解説(谷田保啓ヤスヒロ 投稿)がでた。このような、西洋医学から見ると一見野蛮な治療法が、痼疾の治療に驚くべき効果を出すことは事実である。この治療メカニズムは、もっと科学的に追求されるべきである。
短い記事ではあるが、耳鍼(藤川直孝投稿)がはじめてNAJOMに登場した。読者の臨床応用が楽しみである。耳鍼シリーズに期待していただきたい。
各種治療法(投稿者:長田裕、山本真澄、山岡傳一郎、Bob Quinn、Stephen Brown)、症例報告(投稿者:Faruk Şahin、Raman Kapur、澤口博、山田智子)、随筆(Ehrland Truitt 投稿)、ブックレビュー(George Chachis 投稿)など、今号も多くの記事が集まった。この文章を書いているときに、首籐傳明先生から投稿があった。平易な文章ではあるが、先生の力強い気を読み取っていただきたい。
現在のNAJOMの読者数は約400名である。会員には、書籍版が郵送されpdf版が配信される。私個人は書籍版派である。配達された封筒を開き、NAJOMを手にするとき著者達の気を感じるのである。引用や検索には欠かせないオンライン版(pdf)もハンディーだ。しかしながら、もし読者のうちで書籍版は要らない(それは資源の回復に貢献し、印刷費や郵送代を大幅に節減できる)、pdf版だけで十分だと思う方は、名乗りを上げて欲しい。NAJOMの経費節減に大いに貢献するであろう。
2021年3月号のテーマは、“陰と陽”。我々の日常の治療で忘れることができない概念である。伝統医療でどのように応用されるのか、限りのないテーマだ。この“陰陽”二文字に含まれるパワーを具体的に書いて頂きたい。
投稿を予定する方は、早い機会に紙面確保の連絡をNAJOM宛にされることをお願いする。
NAJOMを通じて、伝統医学がさらに普及されることと、会員諸氏の健康増進を念じている。
水谷潤治主幹
今号のテーマ“Insights we have achieved when facing our own serious medical challenges”に、9篇の記事が寄せられた。これらの記事には共通性がある。何れも、心のあり方に関して書かれているのである。
これらは、末期癌や老齢という後戻りできない状況に面している患者への対応、精神が異常になった患者さんへの対応、ストレスで体調の異常を起こしている患者さんへの対応、自己の難症からの回復、肉親の治療などである。(投稿者:校條由紀、船水隆広、前田篤希、高橋大希、石原克己、高嶋正明、Pamela Ferguson、Jean Carr、John Dixon)
このような患者に接するときの、術者の気持ち(それらは戸惑い、恐怖、 反省、希望などであるかも知れない)を通じて、生命観を記述している。それ故に、これらは単なる症例報告に留まらず、施術者と患者の有り方を我々に伝えて、人間の生と死という領域にまで踏み込んでいる。これらの記事は、我々の治療活動における将来の方向性を示唆している。伝統医療の治療は、患者の全体像を見ることから始まり、全身の調整をするには心のあり方に触れずには済まないからである。
COVID-19の各地のレポートを、世界中のNAJOMのメンバーに書いて頂くようにメイルを送ったが、残念ながら、以外と反応が少なかった。今号ではイギリス、オーストラリア、日本、アメリカ、インド、イタリアのメンバーの記事を読んでいただきたい(投稿者:Fiona Hurlock、浅原由江、安士正人、本田進、Peter Eckman、Marco Superbi、Raman Kapur)。
世界中のCOVID-19の被害をみてみると、医療行政の違いで随分と差があることが分かる。日本やカナダは、医療保険が国で運営されていて、医療は自由に受けられる。このような国は、一般的に国民が健康的な暮らしをしているといえる。そのような国々はCOVID-19の被害は少ない。医療行政が貧しくインフラの遅れている国は(G7に入っている国でも)、国民の健康度が低くて被害が大きい。
中国では、中医師が西洋医と対等に治療活動を行っている。中薬、鍼灸がCOVID-19の治療前線で大いに使われる。当然治療結果は目を見張るものがある。日本では、漢方薬はCOVID-19の治療前線では使われていないと思われるが、通常の保健医療では漢方薬はカバーされている。鍼灸、按摩、マッサージ、指圧治療も日常の医療行為としてポピュラーだ。日本ではロックダウン中でも、鍼灸治療はサスペンドされなかった。
私がこの記事を書いている時点で、死亡者数は、中国4634、日本1646(202010.15)と極端に少ない。
やはり伝統医療が行われている国は、COVID-19被害が少ないと言って良いだろう。言い換えれば、伝統医療が免疫をサポートしていると言うことだ。また東アジアの国に、COVID-19の被害が少ないという地域性も、このウイルスの特性であり、東アジアと西洋の国々の生活環境の違いにも注目すべきであろう。
治療法の記事では、打膿灸の詳しい解説(谷田保啓ヤスヒロ 投稿)がでた。このような、西洋医学から見ると一見野蛮な治療法が、痼疾の治療に驚くべき効果を出すことは事実である。この治療メカニズムは、もっと科学的に追求されるべきである。
短い記事ではあるが、耳鍼(藤川直孝投稿)がはじめてNAJOMに登場した。読者の臨床応用が楽しみである。耳鍼シリーズに期待していただきたい。
各種治療法(投稿者:長田裕、山本真澄、山岡傳一郎、Bob Quinn、Stephen Brown)、症例報告(投稿者:Faruk Şahin、Raman Kapur、澤口博、山田智子)、随筆(Ehrland Truitt 投稿)、ブックレビュー(George Chachis 投稿)など、今号も多くの記事が集まった。この文章を書いているときに、首籐傳明先生から投稿があった。平易な文章ではあるが、先生の力強い気を読み取っていただきたい。
現在のNAJOMの読者数は約400名である。会員には、書籍版が郵送されpdf版が配信される。私個人は書籍版派である。配達された封筒を開き、NAJOMを手にするとき著者達の気を感じるのである。引用や検索には欠かせないオンライン版(pdf)もハンディーだ。しかしながら、もし読者のうちで書籍版は要らない(それは資源の回復に貢献し、印刷費や郵送代を大幅に節減できる)、pdf版だけで十分だと思う方は、名乗りを上げて欲しい。NAJOMの経費節減に大いに貢献するであろう。
2021年3月号のテーマは、“陰と陽”。我々の日常の治療で忘れることができない概念である。伝統医療でどのように応用されるのか、限りのないテーマだ。この“陰陽”二文字に含まれるパワーを具体的に書いて頂きたい。
投稿を予定する方は、早い機会に紙面確保の連絡をNAJOM宛にされることをお願いする。
NAJOMを通じて、伝統医学がさらに普及されることと、会員諸氏の健康増進を念じている。
水谷潤治主幹
コロナウイルスに関する情報
NAJOMのメンバーの皆様
3月25日付けで、Responses to NAJOM No.1を取り急ぎ英語のみ 発信しました。今回は、日本語の翻訳が終わったものからお送りします。翻訳の労をとられた、鈴木万記子、中村徹、井澤亮介、浅原由江 各氏に御礼を申しあげます。引き続き、翻訳が必要な記事がたまってきております。
これらに関して、日本語訳をして下さるボランティアを探しております。najom@shaw.caに、時間と力を貸してくださる方は連絡ください。大勢で少しずつ分けて翻訳すれば、時間がかからず、早急に配信可能です。よろしくお願いします。
水谷潤治
3月25日付けで、Responses to NAJOM No.1を取り急ぎ英語のみ 発信しました。今回は、日本語の翻訳が終わったものからお送りします。翻訳の労をとられた、鈴木万記子、中村徹、井澤亮介、浅原由江 各氏に御礼を申しあげます。引き続き、翻訳が必要な記事がたまってきております。
これらに関して、日本語訳をして下さるボランティアを探しております。najom@shaw.caに、時間と力を貸してくださる方は連絡ください。大勢で少しずつ分けて翻訳すれば、時間がかからず、早急に配信可能です。よろしくお願いします。
水谷潤治

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